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REVIEW|2020 FINALLY STARTED -PART1-

2020.10.19
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■苦渋のシーズン中断からCUP開催|そして新しい視聴体験の提供へ

プレーする選手が掛け合う声、跳ねるボールが刻む鼓動のようなリズム。そしてフロアと擦れ合って、バスケットシューズが奏でるスキール。ここには、いつものバスケの音があった。ただひとつ無かったのは、オーディエンスの歓声──。

3x3.EXE PREMIERは世界初の3人制バスケットボールのグローバルプロリーグとして、2014年に参加7チームからスタート。2017年にオリンピック種目に正式決定した追い風も受けて年々規模を拡大していき、今季は日本を含むアジアとニュージーランドの5ヶ国1地域で大会が開かれ、各国から計102チームがエントリーして5月に開幕する予定だった。

しかしそこに襲ったのが、新型コロナ禍。世の中のあらゆる活動が停止を余儀なくされるなか、3x3.EXE PREMIERも苦渋の決断を迫られた。4月に前半戦の中止を決定し、事態の収束を待ったがそうはならず、6月にすべてのスケジュールを中止する決断にいたってしまった。

海外に目を向けると、感染拡大の抑え込みに成功したチャイニーズタイペイでは、他国に先駆けて7~8月に「CHINESE TAIPEI 2020 CUP」を開催。「新光三越」や、1668年に建立されてもっとも歴史が古いとされる、海の守護神を祀った神社の前で観客を入れて大会を行い、大きな盛り上がりを見せた。

もう一度、日本に目を戻そう。3x3.EXE PREMIERは競技であり、スポーツエンタテイメントであると同時に、3x3の普及と育成も担っている。このまま2020年の3x3を、すべて無きものとして良いのか。大会運営者らは幾度も繰り返し、協議を重ねた。その結論として出たのが、1大会完結のトーナメントによるカップ戦。会場に観客を入れず、試合の模様はネット配信のみで行うことを決定した。

そして配信の方法にも、一歩踏み込んで手を入れた。ただ淡々と試合の様子を流し続けるだけでは、つまらない。配信でやるからには、新しい視聴体験を届けるべきだ。その考えから導き出されたのが、CG映像の活用。コートをグリーンバックで覆い、そこに宇宙船の船内をイメージしたCG映像を合成し、その画像のなかに実際に選手たちがプレーする様子を組み合わせる。初めての試みゆえ準備段階で思わぬ苦戦もあったが、大会当日は大きなトラブルもなく、無事に視聴者に映像を届けた。

■「こんなときだからこそ、やる」自前でコートを作ったオーナーの思い

コロナ禍にあって大会開催を模索した主催者と同様、エントラントたちもコロナと戦っていた。男子15チームが参加した今大会の初戦に登場したKYOTO BB.EXEの紅谷裕司オーナーも、そのひとり。コロナで世の中が動きを止めているなか、倉庫を改修してチームのホームコートを作ったのだ。

「京都は体育館が少なくて、借りるのも抽選であったりで練習する場所が少ないんです。強いチームを見ていると練習環境が整っていたり、練習場所があるチームが多い。それなら、自分たちで作ってみようかと思ったんです。コロナの影響で本業の会社の状況も悪かったですが、暗い話題ばかりだったので、明るい話題を作ってやろうと思って。ほとんど、勢いでしたけどね(笑)」

紅谷オーナーが手掛けたコートはKYOTO BB.EXEのホームである一方、レンタルとスクールの事業も行う。しかし事業については、収益を第一にしたものではない。

「コロナの影響でBリーグのチームが潰れたり、人員削減でクビを切られた選手もいます。復帰を目指しても練習する場所がなかったり、収入がない選手を集めて、ここで働いてもらいながら収入を得てもらう。毎日練習できる環境を提供して、来年またBリーグに戻れたり、3x3で通用する選手になるサポートをと考えたんです」

行動派の紅谷オーナーが率いるKYOTO BB.EXEは、大会の初戦に登場。TACHIKAWA DICE.XEを19-15で下し、次戦は優勝候補の一角であるTOKYO DIME.EXEに終盤まで食い下がったが15-21で敗戦。2回戦で大会を去ることになったが、強豪を相手に粘り強く戦ったチームは、確かなインパクトを残した。

(Text by カワサキマサシ)

PART2へ続く

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