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REVIEW|CG STREMING,BEHIND THE STORY -PART2-

2020.11.11
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■大小のトラブルを解決しながら|宇宙船の船内をイメージした映像が完成

世界から専門家が参加したが、映像の制作には困難がともなった。その大きな要因はやはりコロナ禍にあったと、今回の映像制作の中心を担ったポン・テランは言う。

「このプロジェクトは、国際的なコラボレーションでスタートしました。本来なら直接会って、顔を合わせて会議などを行うのがベストなのですが、コロナ禍でそれができず、ミーティングはすべてオンライン。時差の問題などもあり、国境を越えてのやりとりは大変でしたね」

それから実作業が進むごとに、大小の問題が発生する。
「大きなものでは、実際に大会を行う日本の会場で、サイズを測ることができなかったこと。グラフィックデザインをするためには、グラフィックのサイズを決めなくてはいけません。それを決めなければならないのに、そのころの日本は緊急事態宣言下で、体育館が取れない状況でした」

とはいえ、10月11日の大会に間に合わせるには、早急にサイズを決めないといけない。タイの制作チームはバンコク市内の体育館を抑え、そこでカメラの位置を決定して、グラフィックのサイズを確定。そのサイズに合わせてグラフィックを作っていく形で進めた。

「タイで測ったサイズが、そのまま日本の体育館で再現できなければ、グラフィックが上手く映らない。そこが技術的に難しかったです。実際に現場でも、そこをアジャストするのに時間がかかったり、照明の明るさによってグラフィックが上手く出ないこともありました。前日の準備日はタイにいる私と日本側で連絡をとりながら、修正を施していきました」

グラフィックは宇宙船の船内をイメージした、非日常的なものとした。
「どんなグラフィックデザインにするかの可能性は、無限にあったんです。そのなかで私は、非現実的な場所でやっていることを、視聴者に対していちばんに表現したかった。宇宙船の船内であれば、地球の外に出てバスケをやるという非現実的な空間が表現できる。それで、あのイメージに行き着いたんです。

宇宙船のなかで大会をやるという考え方や表現は、3x3が念頭に置いている考え方に近い部分じゃないかと思います。3x3は新しくてエキサイティングで、とてもユニークなスポーツ。私は新しいことを取り入れていくのが、3x3のひとつの文化だと捉えています。そういった意味では、宇宙船の船内で大会が行われるというのは、3x3のカルチャーにすごくフィットした表現の仕方だったと思います」

第2回大会は前回の現場で発生した問題点を解決し、ブラッシュアップした映像を届けた。しかしテランは当然のように、現状が完璧ではないと言い切る。
「今後も大会を行うごとに、修正点が表面化するでしょう。これから改善したいのは、大会は長時間に及ぶので、試合間に非現実的な映像を入れるなど、もっとエンタテイメントの要素を提供していくことも必要だと考えています」


タイの新型コロナの状況は比較的落ち着いてきているが、政府が厳しいガイドラインを定めているなど、油断はできない状況にあるという。そんななかでテランは、自国での3x3.EXE PREMIER開催の方向性を探っている。
「日本と同様に今年度にカップ戦を開催するよう、計画している段階です。こうしてCGを用いて大会が開けることを、日本側が示してくれた。そのことで、タイでの開催にも可能性があると感じています。
タイでこのような技術を使って配信しているところはないので、ぜひ私たちが先駆者になりたい。多くのタイの人も日本の大会の映像を見ていると思いますが、次にそれをやるのはタイでありたいと願っています」


■3STORM HIROSHIMA.EXE 仲摩オーナーが感じた|リモート配信による新たな可能性

CG画像とプレー映像を組み合わせた配信に可能性を感じるのは運営側、制作陣だけではない。3STORM HIROSHIMA.EXEの仲摩匠平オーナー兼選手も、そのひとり。仲摩オーナはかつてBリーグの広島ドラゴンフライズでプレーし、2018年の引退後に3人制プロバスケットボールクラブを立ち上げた。10月11日に行われた、3x3.EXE PREMIER JAPAN 2020 CUP powered by Sun Chlorellaに出場した3STORM HIROSHIMA.EXEのオーナー目線から、今回の配信スタイルについて語る。

「CGを使った配信によって5人制と3人制で、また違った見せ方ができるんじゃないかな。僕は新しい道が切り開けて、良かったかと思います。今までのシーズンも配信はしていましたが、どこか弱いところがあるなと感じていました。こういうCGを用いた新しい形になって、協賛してくださるスポンサー様や新たなファン層を、より多く獲得できる可能性が広がったんじゃないでしょうか。チーム運営者としても、スポンサー様に新しい提案ができますしね。こういった配信が定着していけば、それが3x3の強みになるんじゃないかな」

今回の取り組みの将来にも、期待を寄せて言う。
「このような配信のスタイルが今後、どう発展していくのか楽しみです。試合会場に来てくれた人だけではなく、配信することで全世界の人に見てもらえる。そうなると我々がアピールすべきお客さんの層であったり、ターゲットとするスポンサー様が変わってくるんじゃないかな。そこの広がりに、期待しています」

観客を迎え入れての大会と、新しい配信スタイル。それらが両輪になれば、リーグにとってもチームにとっても、前に進む力が強くなると感じている。
「今回は無観客で配信のみですが、それでも大会を開催する意義はあると、僕は思います。それに、ただ試合を開催するだけではなく、このように新しいことにチャレンジする。そういうところが、僕がチームを立ち上げたきっかけと似ているので、共通した思いを感じます。CGを使った取り組みなので、これからもっといろんなことができると思います。そういった面でも、リーグの方たちといっしょに挑戦していきたいです」


■すべてがまだ、完璧ではない。しかしそれゆえ、この配信スタイルには成長や発展の余地がある

第1、2回大会の配信を終え、運営サイドも反省点、改善点があると感じていると、運営側の北村ディレクターが言う。
「現状の配信映像はバスケが楽しく、詳しく見られる環境かというと、そうでない部分もあると自認しています。2Pを打ったエキサイティングなシーンが見切れてしまったり、スローモーションの映像が取り入れられなかったり、有人カメラではないので選手の近くでエキサイティングな映像が撮れていない状況です。競技の視点では、まだ改善が必要な部分があると感じています」

世界で初めての試みゆえ、すべてがまだ完璧ではない。しかしそれを裏返せば、CG画像とプレー映像を組み合わせた配信には、成長や発展の余地が、まだまだあるということ。
「3Dを使えば、クレーンカメラで上から撮ったりしても背景にCGが映りますが、今回は費用や準備期間の関係で実現できませんでした。固定カメラでしか映せない、CGグラフィックであるのが現状です。我々としても満足し切ってはおらず、もっと良くしていきたいと考えています」

実現に至るまで大小の問題をひとつひとつ解決し、紆余曲折を経ながら世界初の試みを実現させた。コロナ禍によるピンチを、チャンスに変えたとまで言い切るのは、時期尚早かもしれない。しかし3x3.EXE PREMIERに、新たな可能性が広がったことは事実である。

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