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REVIEW|PREMIER CUP COMPLETED -PART2-

2021.01.13
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■女子カテゴリー全大会に出場した女性チームオーナーの思い

「JAPAN 2020 CUP」は、11月の第3回大会から女子カテゴリーのトーナメント戦も実施した。5人制日本代表の一員として2004年のアテネオリンピックに出場するなど、日本の女子バスケの第一人者である矢野良子は今季からSHOEHURRY.EXEのオーナーとなり、3x3.EXE PREMIERに参戦。チームは「JAPAN 2020 CUP」の女子カテゴリー全2大会に出場した。

「以前から女子の3人制を盛り上げたい思いがあって、自分で大会を立ち上げたり、競技人口を増やすためにいろんな方に声をかけたりと、いろいろと動いていました。私にはここで活躍している女子選手たちが、代表に選ばれるような環境になってほしい思いが強くあります。男子は代表に呼ばれていますが、女子も私がオーナーを務めて選手を集め、みんなで切磋琢磨してレベルを上げていきたい。このなかからひとりでも代表選手が選ばれたり、3x3はオリンピック競技ですし、大舞台で活躍する姿が見られたらうれしい。その思いで、自分でチームを持ちました。東京の次のパリ五輪は今の若手世代が軸になるでしょうから、その育成も含めてやってきたいと考えています」

選手育成の場として3x3.EXE PREMIERの舞台は、とくに女子にとって貴重な機会だと矢野オーナーは言う。

「女子は国際大会も少ないですし、世界的に見ても男子と比べればまったく少ない。だからこそ国内で、たくさん経験を積まないといけないと思います。1試合でも多くやりたいので、すごく貴重な大会です」

オーナーとして初参戦する2020シーズンはコロナ禍でリーグ戦が中止になり、その代替としてカップ戦を開催。想定していた事態とは大きく異なることになり、1年生オーナーは苦労を余儀なくされた。

「選手を育成するには、スポンサーさんのご協力も必要。私たちは新規参入なので、理解してもらって協力してくださる方を集めるのは、大変な部分がけっこうありました。それでもコロナ以前は、協力してくれる方がたくさんいらっしゃったのですが、コロナ禍になってからは……。大変ですけど、そんな状況でもお会いしてくださる方々はいらっしゃるので、本当にありがたいです。オーナーとして、もっと頑張らないといけないと思っています」

トーナメントによるカップ戦として開催された「JAPAN 2020 CUP」は、リーグ戦と比較して試合数が少ない。それでもSHOEHURRY.EXEにとっても、矢野オーナーにとっても意義あるものだった。

「そうですね。選手の経験にもなるし、スポンサーさんたちへの活動報告にもなります。配信を通じて私たちはこうして頑張っているという姿が見せられる。そういう意味でも、大会が開催されたのは、とてもありがたいことでした」


■世界に出るため、愛する地元のためMINAKAMI TOWN.EXEは4大会すべてに出場

MINAKAMI TOWN.EXEはその名のとおり、群馬県みなかみ町をホームタウンとするチーム。人口2万人以下の町で唯一のプロチームであり、過疎化した小さな町をプロスポーツチームで盛り上げる思いで、大塚俊オーナー兼選手が2018年に立ち上げた。

「JAPAN 2020 CUP」は全4大会中、2大会が東京、2大会が関西で実施。MINAKAMI TOWN.EXEは、群馬県から関西開催を含むすべての大会に参加した。そうした理由を、大塚オーナー兼選手が明かす。

「全部の大会に参戦することは、最初から決めていました。ウチの選手にプレーできる環境をと考えていましたので、出してあげたい気持ちがあったんです。それに来年に開催されるかまだわかりませんが、3x3.EXE PREMIERで優勝すれば、スーパープレミアという舞台への出場権が付与されます。チームは『みなかみから世界へ』の目標を掲げていまして、世界に出られるチームになりたいと考えているからでもあります」

全大会に出場したねらいのひとつは、世界に出るために選手の経験値を高めること。

「今年は去年から在籍する選手が3人、新しく入った選手が3人。そういう編成なのですが、コロナ禍で練習をするにもかなりタフな状況でした。チームのコミュニケーションをとる場所としても、やはり試合がいちばんなんです。通常の形とは異なって大会回数が半分かつトーナメント戦ですが、なんとか試合ができる環境を作ってくれて、リーグには感謝しかありません。試合を重ねるごとにチームの経験値はあがりますし、それがやがて世界につながることを実感しています。経験値を高めるという意味で、試合の回数を重ねることがとても大事です」

全大会に出場し、関西への移動もともなうとなれば、感染のリスクは高まる。大会に参加するにあたって、MINAKAMI TOWN.EXEは慎重すぎるほどの感染対策を施した。

「たしかに感染リスクが高まることは懸念していましたが、やはりウチの選手にプレーする機会を与えたい。それならば、感染拡大防止を念頭に置いて動こうと。私たちは基本的にパブリックの交通を使わず、すべて自家用車で移動して大会に臨んだんです。関西ラウンドも、みなかみから関西に車で8時間ほどかけて移動しまして、感染リスクを最大限に下げた状態で大会に参加しました。運営側も消毒液をアリーナの各所に小まめに置いてくれていますし、14日前からの健康チェックシートを必ず提出して、会場にはドクターもいます。安心できる、大会運営でしたね」

みなかみの町に元気を与える、みなかみの象徴的存在になることも、MINAKAMI TOWN.EXEの存在意義。4大会すべてに出場したのは、選手の経験値を高めると同時に、いや、もしかするとそれ以上に、選手たちが大会でプレーする姿をみなかみの人々に見てもらうことに意味があると考えたからではないか。

「本当に、仰るとおりです。今、みなかみ町は大雪でニュースになっています(第4回大会が行われていたころ、群馬県内は記録的大雪に見舞われていた)。大雪でかなり大変ななかなのに、私たち選手はこのような環境で3x3をプレーできています。みなかみ町の方々のおかげで、このチームが運営できているのは間違いありません。支えてくれている人たちに感謝を込めて1戦、1戦、戦っていきます」

「JAPAN 2020 CUP」は無観客で、大会の模様は配信のみに限定された。このことは逆に、遠方の会場に足を運べないみなかみの人たちに、気軽に見てもらえる環境にもなった。

「それも、その通りですね。今日もみなかみで、コロナの関係もあって少人数ですが、パブリックビューイングで私たちの試合を見ていただいているんです。たくさんの方々に支えられて、今現在もこのプロチームを運営できていることを実感しています」

チームが世界に出るために、みなかみの人に元気を与えるために。配信という手法は、MINAKAMI TOWN.EXEにとって合致した取り組みだった。

「試合の映像が残って、いつでも見ていただける。そういう意味でもありがたいですし、『みなかみ』という名前をいろんな人に知っていただける。みなかみ町は観光地なので、観光の面でも町の名前を、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。今回は世界中の人に、『みなかみ』の名前を知ってもらえる機会になったと思います。今後は私たちが力をつけて、ワールドツアーやマスターズといった舞台で戦って、『みなかみ』という名前を広く世界に知ってもらいたい思いが強くあります」

みなかみ愛にあふれるここまでのコメントからお察しのとおり、大塚オーナー兼選手はみなかみ町の出身。

「私は海外に20年くらい住んで、その後に地元のみなかみ町に戻りました。そのときに観光の面でもそうですが、本当にキレイなところなんだなと、あらためて感じたんです。このみなかみ町を、たくさんの人に知ってもらいたい。そういう面で、私たちがプロチームとして活動している意味があるかと感じています」

ずっと同じ場所にいると気付かなくても、しばらく離れてから戻ると新しいことに気付き、見慣れた景色が新鮮に映る。コロナ禍に見舞われた2020年の3x3.EXE PREMIERは、ずっといた場所から離れざるを得なかった。しかしコロナを克復した先には、きっと新鮮な景色が見られるに違いない。

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