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REVIEW|3x3.EXE PREMIER 2021 SEASON STARTED

2021.05.26
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3x3.EXE PREMIERの“声”が、帰ってきた──。

5月22日に行われた2021シーズン開幕戦の金沢会場に、お馴染みのあの声が響いた。声の主は、2014年のリーグ創設からMCを務める櫻井康貴。ご存知のように昨年はコロナ禍でレギュラーシーズンの全日程が中止になり、その代替として1日完結型のトーナメント大会をリモートマッチで実施。櫻井にとっても、観客を前にマイクを握るのは2シーズンぶりのこと。

「2019年までは、お客様がいてくださる環境が当たり前でした。3x3.EXE PREMIERといえばその街を象徴するような場所で、音楽があって、お客様とともにみんなで盛り上がりを作る。これが3x3.EXE PREMIERなんだと思っていましたが、昨年はコロナの影響が拡大して、レギュラーシーズンが中止になってしまった。

それでもリーグが試行錯誤して、CGを使った配信でトーナメント大会をやっていただきました。僕も初めての体験でしたが、配信だからこういうやり方でやろうと自分なりに考えてやりました。だけどやればやるほど、お客様がいるときと、そうでないときの差を強く感じたんです」

強く感じた差。それは、選手のプレーに表れていた。もっとも間近で、長く3x3.EXE PREMIERを見続けてきた彼は、鋭敏にそれを感じ取った。

「選手たちのテンション、それにゲームのテンションや内容までもが違っていることを、すごく感じたんです。選手のみなさんも口々に言っていましたが、お客様の有無はゲームの内容にすら影響を及ぼすんですよ。無観客試合を経験して、それを本当に痛感しました。

選手は良いプレーをしたら『どうだ!』などとアピールを含め、お客様に対してアクションをするんですよ。それに対するお客様からのリアクションがあることで、テンションが上がる。お客様と選手の、そういう関係性があって作られる世界。それが3x3.EXE PREMIERなのだと思います」

2021シーズン開幕戦の金沢大会は当初、金沢城での開催が予定されていた。しかし金沢市がまん延防止等重点措置の対象地域となったことで、会場を市内の体育館に変更。入場者数に制限を設けての実施となった。まだ完全な形ではないが、観客を迎え入れることができたのは良かったと、複雑な表情のなかに笑みを交えて櫻井は言う。

「今日、お客様の前でやれたことは、少しですけど3x3.EXE PREMIERらしい形だったんじゃないかと思います。僕たちがいちばん伝えたい3x3.EXE PREMIERは、やはりお客様ありきなんです。お客様がいなければ存在価値がないとまでは言いませんが、お客様といっしょに作ってこその3x3.EXE PREMIERなんだと、あらためて感じましたね」

選手がそうであるように、観客の有無は、自身のMCにも影響を及ぼしたのではないだろうか。

「僕は通常の大会ではコートの周りを歩きながら、お客様の反応を見つつしゃべっています。今日はブースに座ったままだったので、自分としてもまだまだ本来の形ではありません。ですが、やはりお客様の顔が見えると、僕は頭のなかで『お客様は今、なにを欲しているのか。どんな情報を求めていて、どういうゲームが見たいのか』など、いろいろと思考を巡らせるんです。リモートマッチでゲームだけ見ているのとは、まったく違う世界。お客様がよろこんでいる顔が見えると、僕のMCの内容も全然変わってきますね」

昨年はリモートマッチのMCを初体験。通常の大会とは、大きく勝手が違ったと言う。

「やはり配信だけのものと、目の前のお客様と、その周りにいる人たちに対して伝えるものは違いますね。大会を屋外やショッピングモールでやる際には、たまたま通りかかった人たちも巻き込んで、3x3.EXE PREMIERを知ってもらう意識でやっています。お客様やその周囲の人がいるといないとでは、僕のなかでは別の競技くらいの違いがありますよ」

別競技ほど違う初めてのリモートマッチに、彼はどう対応したのか。

「僕は通常の大会では、お客様の顔を見ながらしゃべることが多いのですが、リモートマッチでは当然、それがまったく見えない。声もいつもなら現場に流れるのに、配信で見てくれている方だけに伝わる状況。だからこそ、普段できないことをやろうと考えたんです。

たとえば解説の方に、次はどんなプレーで来ると思うか。選手だったらこういう状況で、なにを考えるのかなどと話を振ったりしました。普段だったら会場に僕の声が流れているので、『次はこの選手がねらってくるんじゃないか』なんてマイクで言えないじゃないですか(笑)。選手目線で戦術面に注目し、3x3という競技そのものにフォーカスして魅力を伝えることにトライしました」

つまりは自らのMCスタイルを、配信モードにシフトチェンジさせたのだ。

「完全に、そうなりましたね。また競技面だけではなく、選手のパーソナリティを盛り込むこともしました。僕は通常の大会でも選手がどういう人なのか、どういう仕事をしているのか、どんな経歴の持ち主なのかをしゃべっています。配信だと音楽もないし、それがより伝わると思ったんですよ。そういうところも意識して、選手の人としての魅力も、今のうちによりしっかりと伝えておこうと考えました」

MCはプレーヤーと観客をつなげる、いわば接着剤の役割も担う。櫻井は当然、その意識を強く持っている。

「そのことは、意識しますね。選手のことを知ってもらって、より感情移入してもらう。そうすることでもっと応援したいと思ってもらい、この競技を好きになってもらう。3x3.EXE PREMIERにはいろんな魅力が詰まっているので、それらとお客様を引き合わせたいと思っています」

コロナの一刻も早い収束が願われるが、日本国内の先行きは残念ながらいまだ不透明。3x3.EXE PREMIERも場合によっては、通常ならざる形での大会開催を余儀なくされるかもしれない。MCにも臨機応変な対応が求められるケースがあるかもしれないが、スピーディーに繰り広げられるプレーを瞬時に言葉に表し続けてきた彼ならば、どんな状況でもその場に対応して乗り越えるに違いない。

「普段だとDJといっしょにコミュニケーションをとりながら、どう盛り上げるかを考えてやっているんですけど、今日はDJがいない。自分の声は配信に乗らないけど、お客様はいる。ならばと、会場に来てくれた方だけが楽しめる空間作りを意識しました。

ゲームの盛り上げとミックスさせて情報を発信したり、この場にいる方に少しでも楽しんでいただけるようにと考えてやりました。今後もまた、通常とは違う形の大会開催になることがあるかもしれません。そうだったとしても毎回状況に応じて、自分なりに考えて、今できるベストはなにかを試行錯誤しながら、これからもやっていきたいと思っています」


シーズン中止からリモートマッチ開催と波乱に満ちた2020年を経て、観客を迎え入れての2021シーズンが幕を開けた。3x3.EXE PREMIERの歴史の証人でもある男が新たなシーズンに願い、取り組むことはこれまでと変わらない。

「いちばんに思うのは、ひとりでもふたりでも、お客様の前で3x3.EXE PREMIERを披露できたらということです。もちろん本来はこの競技の魅力を、もっともっと多くの人に知っていただきたい思いが強くあります。そういった方々に、3x3.EXE PREMIERの魅力をどう届けるか。仮に配信になったらなったで、新しい人に届けるチャンスでもあると思います。3x3.EXE PREMIERを多くの人に知ってもらえるきっかけを探しながら、自分なりになにができるかを、僕も楽しみながらやっていきます」

3x3.EXE PREMIERの“声”が、今季も選手と観客をつなぐ。

TEXT by カワサキマサシ

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