3x3.EXE PREMIER JAPANには今季、男女あわせて8チームが新規参入します。本企画は新規参入チームのオーナーに参入の背景、クラブが目指すものなどを語ってもらい、新たに3x3.EXE PREMIER JAPANに加わる仲間を紹介するシリーズ連載です。
第2回は、MEN’S CATEGORYに新規参入するASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXE。代表の栗原氏は、3x3という競技を通じて、業界に新たな価値を生み出すべくチームを設立しました。とても優しく温かい新たな価値と彼の想いを、あなたにも知ってほしい。

「バスケットボールから共生社会の一歩を!」
かつてない理念を掲げ見据える、新たな3x3の価値

「3x3で街を盛り上げたい」「3x3で地元から世界へ」など、3x3.EXE PREMIERに参戦するチームは、それぞれにテーマを持って活動を行っている。そんななかで、2023シーズンから男子カテゴリーに新規参入するASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXE(アスカヤマ チェリーブロッサムズ)が掲げるスローガンは、リーグ内でもほかに類を見ないものだ。

スローガン:「バスケットボールから共生社会の一歩を!」

代表を務める栗原諒氏は、障がい者向け特別支援学校で勤務経験がある。その経験からチームの活動を通じて健常者と障がい者の交流や、障がいのある子どもの社会参加を後押ししたいとの思いからチームを設立した。

栗原「共生社会というワードはよく出ますが、実際には障がいがある方は、なかなか社会と接する機会が少ないのが現状かなと感じています。どう接していいのかわからない方々も多いのではと思います。意外と”社会との関わり方”が大きく影響しているんです。障壁のようなものを低くして、障がいのある子どもたちが、社会と接するところを作ってあげたい思いがありました」

健常者と障がい者をつなぐ架け橋として、注目したのはスポーツ。さまざまな競技があるなかで、3x3に参入を決めた理由をこう語る。

栗原「3x3はオリンピック種目に採用されたことが、まずひとつ。ちなみに私は陸上競技をやっていたのですが、陸上は個人競技です。個人競技という性質から巻き込む規模がすごく小さくなってしまいがちで、実行しようにも個人での実績がない自分では大変。やはりチームスポーツで、しかも勢いがある競技がいい。そう考えていたところに、運営もスモールパッケージででき展開も非常に速い3x3を知ったんです。素晴らしいと思いました。3x3のチームを作って、地域や世の中を巻き込む柱にしていきたい。その思いから、ASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXEを設立しました」

ホームタウンは栗原氏自身の出身地である、東京都北区に定めた。

栗原「地元にある飛鳥山公園は、桜の名所なんです。東京都北区にあるチームだということをダイレクトにわかってもらう意図で、チーム名にアスカヤマとチェリーブロッサムズ=桜の花を入れました」

ASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXEは、共生社会のシンボルになると同時に、地域のバスケ熱を高める存在も目指す。

栗原「北区はバスケットへの馴染みが薄く、ミニバスのチームもそれほど存在していません。バスケットをやる土壌というか、そういうものがないので、普及も含めてやっていけたらと考えています。カテゴリー別に見て、いちばん下にミニバスがあって次に部活動、そしてピラミッドの頂点がプロ。そういった構図ができるとことは、バスケットをやっている子どもたちにとって目標ができ励みになると思います。地元にプロチームがあるのは憧れだと思うんですよね。そういう存在を作ってあげたい。ピラミッドのいちばん上を作るのは難しい作業なので、ちょっと不安はありながらもワクワクしていますし、関わってくださる方々がとても良くしてくださるのでいい方向に行くんじゃないかなと思っています」

社会的に意義ある取り組みゆえ、行政の協力も得られると想像する。そうなればチームの存在を地元に知らしめ、理念を世間に広める大きな推進剤になるはずだ。

栗原「北区には区営の体育館が、3つほどあるんです。行政の方ともお話をさせてもらっているので、そういった施設を利用しながら、スクールやクリニックなど、いろんなことがやれたらいいなと思っています。私は元教員で学校現場ともつながりがあるので、部活動にいきなり選手が行くのも面白いかなと。行政の支援がしっかりと得られるようになれば、区営の体育館で自主大会もやりたいですね。地元のバスケットボール協会さんからも「できれば、ぜひ!」とお話をいただいています」

実現したい未来は、共生社会の創出。チームの存在が、障がい者の社会参画への一助となることも目標だ。

栗原「共生社会をビジョンに掲げている我々としては、将来的には障がい者雇用が生み出せればと考えています。我々の活動を通じてそれが実現すれば、新しいモデルケースになるかなと思っているんです。ただ、障がい者の雇用に関しては、ちょっと難しい面があるのも現実。それは、障がい者のある方たちの能力を見極めるのが難しいことも一因にあると思われます。実際に漢字は書けないけど工作が得意な子もいれば、運動は苦手だけど演奏が上手な子もいるなど、能力はさまざまです。雇用する側が彼ら・彼女らを適材適所に置いてあげられれば、良い雇用が生まれるんじゃないかと考えていて、実現していきたいと思っています」

©写真はチームより提供

「その受け入れ先のひとつに、ASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXEがなれれば最高ですね」と栗原代表。具体的な雇用となるとまだもう少し先になるかもしれないが、今季チームが本格的に動き始めれば、大会当日などに特別支援学校の生徒たちにも活動を手伝ってもらう考えもある。

栗原「賛同いただける企業さんがあれば、チラシを会場で配るとか、自分達で作った製品を売るとか、できることから始めていってもらいたいなと思っています。彼ら・彼女らの個性を生かせることで、チームに参画してもらえるとうれしいです。それと、地元に知的障がい者のチアリーディングのチームがあるんですよ。大会の会場に応援に来てもらったり、なにかイベントなど一緒にできることがあるとすごくいいなと思って、企画をいろいろと考えています」

栗原代表は最後に、参入初年度に見せたいもの、そして将来的に目指すチームの在り方について話してくれた。

栗原「今はまだ選手が固まっていませんが、ガッツあふれるチームにしていきたいです。チームの勢いと、理念を含めた個性。そういった私たちの良いところをしっかりとお見せしたいと思っていますので、そこに注目していただきたいですね。将来的には強くなっていって、選手のほうから来たいと思ってもらえるチームになりたい。選手にもこのチームのビジョンや理念を理解してもらって、活動してくれたら嬉しいです」

現場を知る者として栗原代表は「障がい者も健常者もそれほど違いはない」と語る。だが両者の間には1枚どころではない、数多のフィルターのようなものが挟まっていると感じているのだとも言う。ASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXEの活動を通じて、それを取り払っていく。この行動が結実すれば、3x3にまた新しい価値が生まれるだろう。

◤TEAM information◢
Team:ASUKAYAMA CHERRYBLOSSOMS.EXE
Since:2023
Hometown:東京都北区
SNS:
(Twitter)https://twitter.com/Asukayamacb
(Instagram)https://www.instagram.com/asukayama.cherryblossoms/

◤新規参入に関するお問合せはこちら◢
premier@exebasketball.com

(Text by カワサキ マサシ)