過疎化と高齢化が進む故郷・みなかみ町に、僕らがどうしても大会を誘致したかった理由 ~MINAKAMI TOWN.EXE~【Owner Interview/After Season #03】

2022.12.21

2022年は6つのチームが大会を誘致し、ホームゲームを通じて競技の認知拡大をはじめ地域活性化や新たなコミュニティを創造しました。3x3.EXE PREMIERの特徴でもありますが、駅前や街中、商業施設などの省スペースにコート・ゴールを設置するだけで大会を開催できるため、大会誘致はさまざまな可能性を秘めていると言えるでしょう。

本企画は、2022年シーズンで大会誘致を実施したチームオーナーに、大会誘致にかけた想いや背景を含め、2022年シーズン全体を総括いただく内容です。

全7回でお送りするシリーズ第3弾は、群馬県みなかみ町を本拠地として構える『MINAKAMI TOWN.EXE(以下「MINAKAMI」)』。2018年にチーム創設して以来、長く目標にしてきた大会誘致が実現したことについて、共同オーナーである大塚氏と日下氏に伺った。

夢は、僕たちの時代だけで終わらせない。

 

MINAKAMI TOWN.EXEは群馬県のみなかみ町をホームに、当地出身の大塚俊氏と群馬県渋川市出身の日下謙人氏が共同オーナーとなって、2018年に誕生した。3x3という、新しい競技があると話を持ちかけたのは日下氏。それならば人口が2万人を下回り、過疎化と高齢化が進む故郷の町を3x3で活性化させたいとの大塚氏の思いが結びつき、県最北部にある山あいの小さな町で活動を始めた。

彼らはただ、3x3をプレーするだけにとどまらない。NPO法人を設立してバスケットボール、チアダンスなどのスクール事業はもちろん、スポーツチームの合宿誘致など、町に根を下ろした活動を多岐にわたって行っている。そんなMINAKAMIにとってかねてからの悲願だったのが、3x3.EXE PREMIERの大会を地元の群馬県に誘致すること。それが活動5年目の2022年に、ついに実現する。9月3日に、ビエント高崎 ビッグキューブを舞台に大会が開催された。

大塚「2021年の世界大会が終わったころに、私たちのスポンサーをしていただいている、たくみ株式会社社の信澤社長と石田事務局長から「初の群馬開催を高崎でやってほしい」とお声をかけていただいたことがきっかけでした。私達としてもずっと群馬県での開催をしたくて、いろんなところと話をしていたのですが、上手くマッチングできていませんでした。そんなところに、たくみ株式会社さんからのお声は、非常にありがたかったですね」

念願かなったとはいえ、大会運営は大塚たちにとって初めての経験。当日を迎えるまでは、思わぬ苦労も少なくなかった。

大塚「大変なことは、たくさんありましたね(苦笑)。会場も最初は、たくみ株式会社さんが運営している高齢者施設の駐車場の予定だったんです。しかし大会の1ヶ月くらい前に「コロナ禍で入所されているご家族さんが会いに来れない状況なのに、施設の駐車場でやるのはかなり厳しいでしょう」となったんです。それで急きょ別で抑えていた、近所の展示会場を会場にすることにしました」

会場が決まるまでもひと筋縄ではいかなかったが、それからもキッチンカーの手配と、それにともなう保健所との調整、来場者促進と大会を盛り上げるためのイベント企画など、大会を実現するまでには普段とは異なる苦労の連続だった。だが、そんなMINAKAMI運営陣の苦労は報われた。大会当日は1993名もの人が、会場を訪れたのだ。

大塚「(選手としてコートに立っていなかったので)これは運営側、チームオーナーとしての意見ですが、これまで群馬県内にたくさんいるスポンサーさんや私たちのファンの方々は、なかなか会場で試合を見ることができなかったと思います。大会を誘致できたことで生で3x3を、しかもプロの試合を見ていただくことができました。生で見ていただいたことで、群馬県の方々にも3x3が面白いと感じていただけたことでしょう。高崎開催でそんな機会がお届けできたことを、個人的にも誇りに思います」

当日は選手としてコートに立っていた日下も、ホームでプレーできたことに特別な感慨を抱いた。

日下「僕も準備段階から関わって、会場設営もしました。でも当日に大塚が会場をスーツを着て会場を走り回っている姿を見て、大会を開催するには、すごい労力がかかっているんだと実感しましたね。選手としてはホームで試合に出て、ホームの声援が力になることを感じました。誘致したラウンドを優勝という最高の結果で終えられて、ファンのみなさんやスポンサーのみなさんが自分のことのように喜んでくれたのも、すごくうれしかったですね。本当に、素晴らしい経験ができました」

MINAKAMIが初の大会誘致で得たものは数々ある。それらの中でもより価値があるのは、サポートしてくれるスポンサー、応援してくれる地元のファンとの関係を、より密接なものにできたことだろう。

大塚「大会を生で見て、肌で感じていただいたことで、スポンサーのみなさんとの関係も、より強固なものになったと感じます。たくみ株式会社社の信澤社長と石田事務局長からは、来年度も必ず誘致したいと仰っていただきました。3x3を好きになってくれた方々も増えましたし、これからも群馬県を3x3で盛り上げ続けたい。そのためにも、大会を開催する必要性があるなと思いましたね」

日下「僕はみなかみ町に移住して、5年目になります。町に多くいらっしゃるご高齢の方々とお話をすると『試合が群馬県であったら、見に行くんだけどね』と、よく言われていたんです。今回、初めて生の試合を見せられることができて、『よりチームのファンになりました』という人もいましたし、さらに熱心にMINAKAMIの3x3や活動にのめり込んで話題にしてくれました。そういう意味でも大会を誘致して、しかもいい結果が残せて、本当に良かった」

チームも年々着実に力をつけ、2022シーズンは8大会で6度の優勝を飾り、プレーオフにも出場した。MINAKAMIが掲げるスローガンは「みなかみから世界へ」。それを現実のものとするため、来季もひたすら頂点を追い求める。

大塚「来シーズンの3x3.EXE PREMIERに向けての目標は、やはりリーグ制覇です。2022シーズンはプレーオフ2回戦で敗退してしまい、9位という結果に終わりました。来年度はもう一度、リーグ制覇、そして『みなかみから世界へ』のテーマのもとで、戦っていきます。そして来年も地元の群馬県で大会を開催して、昨年よりも楽しかったと言っていただけるようなイベントや、エンターテインメントを作っていきたいなと考えています」

日下氏は選手の目線から、来季に目指すものをこう語る。

日下「チーム内の競争が激化しているので、出場機会を勝ち取ってプレーする。まずはそれが、最初のところです。3x3.EXE PREMIERにはBリーガーの選手も増えてきましたし、コロナも徐々に収まってきて外国籍選手が増えたりと、リーグ内のレベルが上がってきています。そういったライバルチームにも負けないくらい、自分もどんどん成長していって、より良いプレーができるように。そうすることでチームの目標にも近づけますし、日本国内の3x3が盛り上がる要因にもなるのではないかな。まずは競技力の向上をしっかりやって、その上で良いパフォーマンスを発揮したいです」

国内の頂点に立ち、世界に進出して完結、ではない。MINAKAMIが紡ぐストーリーには、まだまだ未来が描かれている。

大塚「最近は、若い人材の育成を考えています。「私と日下がいなくなったら、この団体はなくなってしまうんじゃないか」と、よく言われるんです。そうではありません。私達が選手を引退したあとのことまで考えた動きを今、始めています。私の考えている未来は、MINAKAMIはしっかりとした歴史を持って、長く続いていく団体でないといけない。そのうえで我々が完全に経営陣になった際にも、若い人材が私たちのもとで働ける環境を作っていきたい。私たちの団体は、すべての活動でボランティア制度を廃止しています。「スポーツを仕事に」の考えで、活動に対しては対価が支払われる状況を作ろうとしているんです。スポーツを通して少しでも雇用の創出をしていきながら、みなかみ町に貢献していきたいなと思っています」

チーム結成から5年。区切りの年に地元での大会開催を成功に収めたことで、MINAKAMI TOWN.EXEというチーム・団体はひとつ上のステージに達した。来季も大会誘致を目指す彼らが、そこでどんな光景を見せてくれるのか、楽しみにしたい。

 

◤TEAM information◢
Team:MINAKAMI TOWN.EXE
Since:2018
Hometown:群馬県みなかみ町
SNS:
(Twitter)https://twitter.com/minakami3x3
(Instagram)https://www.instagram.com/minakami3x3/
(公式サイト)https://www.minakami3x3.com/

◤大会誘致に関するお問合せはこちら◢
premier@exebasketball.com

(Text by カワサキ マサシ)

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